果てしないカステラの旅 第4回 ちょいセレな気分 異人堂
プロも高評価の美味しさ 異人堂
長崎カステラといえば、「福砂屋」、「松翁軒」、「文明堂総本店」の3店舗が御三家と呼ばれ、売上やシェアも常に上位を占めています。
ところが実はもうひとつ、県民に古くから愛されている有名なカステラ屋さんがあります。
それが「異人堂(いじんどう)」さんです。
県外の方は、あまり聞き慣れないメーカーかもしれません。
しかし、長崎県民はかなりの割合でこのお店のことを知っています。
異人堂さんの創業は1950年。ちょうど以前ご紹介した和泉屋さんに先立つこと6年前に産声をあげています。本社工場は長崎市内からかなり離れた時津町という所にあり、ほか長崎市内に3店舗、県中央部の諫早市に2店舗、大村市に1店舗という構成です。
私の勝手な妄想ですが、異人堂さんは長崎市内激戦区での熾烈な競争に参戦しているというよりも、郊外のゆったりした敷地で観光バスを受け入れたり、県央地域の地域密着店として頑張っておられるイメージがあります。
古式ゆかしいカステラ専門店というより、マイカー移動で、ちょっとセレブ感のあるお土産、子供たちが喜ぶ品の良いお菓子を買いたい時、気軽に寄れる便利なお店、それが異人堂さんなのです。
今でも、長崎県の中央部に位置する諫早市や大村市をドライブしていると、異人堂さんの大きな看板が目に飛び込んできて、そのインパクトは半端じゃありません。
下の写真を見てください。皆さん気づきませんか?
この大きな看板、実は色と形がカステラなんですよ。
最初気付かなかったのですが、ある時ふと「もしかしてカステラ?」とひらめいて、思わず笑ってしまいました。こういうセンス、とても好きです。
さて、お店に近づきますと、ウインドウにどら焼きの宣伝が貼ってありました。
異人堂さんのカステラに次ぐ名物はどら焼き。くりどらとかごまどらはめちゃくちゃ美味しいです。諫早で育った方なら、子供の頃、ちょっと特別な日に食べるお菓子として記憶に残っている方は少なくないと思います。
さて、店内に入ると、広々としてとても清潔。カウンターにはずらりと美味しそうな商品が並び、見ているだけで楽しくなります。
ところで皆さん、手前にポットが置いてあるのが分かりますか?
実は異人堂さん。お店で商品を買うと、必ずお茶とカステラのおもてなしをしてくれるんです。他のお客様がいたので切り取ってありますが、手前には長椅子があります。
卓の上はこんな感じ。
こういうのは本当にうれしいですね。
お茶も温かくて美味しいし、いくらでも召し上がれとばかりの提供スタイル。
柔らかくてフワフワのカステラを2切れも頂いて、大満足!
さっそく、カステラを1本買って帰りました。
異人堂さん、袋も箱の包装紙も大変オシャレです。金色の包装紙は大変珍しいですし、コストもかかると思うのですが、貰った方は嬉しいですよね。
箱から取り出しますと、大変見事な黄色の生地。そして丁寧に10等分に切れ目が入っています。
キメはそれほど細かくありませんが、かなりしっとりしていて、甘みも強いです。
あとひっくり返してみますと、ざらめも割と白い塊のまま出現していますので、シャリシャリ感を楽しみたい方には満足頂けると思います。
福砂屋さんのようにじゅわっとしたあの神秘の食感こそありませんが、パウンドケーキのようなカステラがお好みの方にも、しっとりした生地がお好きな方にも両方、愛される味かと思います。この辺りは、カステラだけでなく様々な和洋菓子を手掛けてきたノウハウが生きているんでしょうね。
ちなみに、一流ホテルのシェフから洋菓子店主に転身した、親しい職人の方に尋ねてみたところ、「福砂屋の次に自分が評価するのは異人堂だね。あそこのカステラはかなりレベルが高い。」とのことでした。
プロも一目置く異人堂のカステラ。ぜひ一度、お試しになって見られませんか。
▼異人堂さんのウェブサイトはこちら▼