太郎雑記

つれづれなるままに、よろずのことについて語ります

今から飲食店の経営にチャレンジしたい方へ⑧

決算書から見る経営の成功と失敗 - 03.販管費を設定する

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前章までは粗利益と売上の関係を考え、経営の成功例と失敗例を見てきましたが、その際に人件費と光熱費の影響についても多少触れました。

上の青色申告決算書をご覧ください。下手なフリーハンドで囲っている部分がありますが、人件費にあたる給与賃金のほか、水道光熱費や修繕費、あとサラリーマンにはあまり聞きなじみのない減価償却費といったものが記載されています。

これら費目のことを総称して「販売費および一般管理費」、略して販管費と呼びます。

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では、販管費と粗利益を計算するために必要な「売上原価」とはどこが違うのかというと、販管費はお客様に提供する商品・サービスと直接関係しない経費。そんなイメージを持って頂ければ良いかと思います。

 

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例えば、あなたがカレー屋さんにカレーを食べに行くとします。重要なのは、ルーや具材(野菜やお肉)の量や美味しさであって、お店の電気代や家賃は特にどうでもいいことです(照明が灯いていないとか外で食べさせられたとか言う非現実的な想定はナシにしてくださいね)。

 

このルーや具材を仕入れるために必要な費用。すなわち、これがないと商売が始まらないモノにかける経費が「売上原価」です。

一方で、お客様に提供するものではないが、お店の経営そのものを維持するために、先ほど書いた電気代や家賃を支払わないわけにはいきません。こうした経費が販管費に入ります。

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ちなみに、下が「販管費」の例です。

 

租税公課   消費税、事業税、印紙税など

水道光熱費  電気代、ガス代、水道代など

・通信費    電話代、インターネット料金、切手代など

・地代家賃   事務所、店舗の家賃、または駐車場代

・旅費交通費  営業活動で要した運賃、ガソリン代、宿泊費など

・接待交際費  営業活動で顧客に供した食事、贈答品、慶弔など

減価償却費  使用している備品の価値の減少分を数値化したもの

 

なお、世の中のありとあらゆる商売の中には、「売上原価」がゼロに近い職業もあります。例えば「士」が付く方たち。弁護士さん、司法書士さん、税理士さんと言った方々。

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こういった先生たちはご自身の能力を売り物にします。弁護士さんがラーメンの具材とか仕入れて商売したりしませんよね。私たちは「~士」さんの能力、成果に対して報酬を支払います。紙代とか僅かな仕入れはあるかもしれませんが、ほとんどが販管費支出になると思います。

 

こうした「士業」の方の他、理・美容師さん、請負大工さん、学習塾の方も同様に売上原価が低い業種と言われています。

 

ですから、そういった職業に比べると、製造業、小売業、卸売業、そしてこのブログが採り上げている飲食業は、売上原価も販管費も非常に大きい。いわば経営がキツい業種になります。

仕入価格を抑えることも重要ですが、それ以上に家賃や光熱費の管理には十分気を付けなければなりません。

脱サラ開業を目指されている方は、売上原価に販管費と、目の前に立ちはだかるものは本当に多いんだな!と実感されたと思います。

それだけ商売は厳しいのです。

 

さて、これまでの私の説明を聞いて、ひょっとしてあれっ?と思った方はいらっしゃいませんか。いらっしゃったら鋭いです。

そう、人件費!

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「人件費」は売上原価なのか販管費なのか?

疑問を持たれた方は多いと思います。私もあえて書きませんでしたから。

せっかくなので、そんな勘の鋭い皆さんにお答えしましょう。正解は...。

「どちらでもある」です。

 

(# ゚Д゚)(# ゚Д゚)(# ゚Д゚)(# ゚Д゚)(# ゚Д゚)(# ゚Д゚)(# ゚Д゚)(# ゚Д゚)(# ゚Д゚)

 

コラって感じでしょう。でもこれが正解なのです。

それについては、次の章でお話ししたいと思います。