ふわふわとろけるチーズオムレット(北海道物産展)
函館発 有名販売員さんがお届けする激うまスイーツ
「チーズオムレット、チーズオムレット、いかがですかぁ~!」
某デパートの8階催事場。多くのお客様でごった返す「北海道物産展」に立ち寄りますと、飛び交う掛け声や話し声、大音量のBGM、じゅーっと何かを焼く音にも負けず、明るく、ひときわ大きな呼び込みの声が聞こえてきます。
声の主は、函館洋菓子スナッフルスのベテラン販売員Mさん。彼女は「試食販売の女王」と呼ばれ、自ら試行錯誤の末に編み出した販売スタイルで、いわゆるマネキンさんの業界の中でも屈指の実績と知名度を築き上げてこられた方です。
とにかく、彼女がそこにいるだけで、場の雰囲気がパッと華やぐと言いますか、しぜんとお客様が寄ってくる感じです。そして、立ち並ぶお客様を相手に、Mさんは商品名「チーズオムレット」を歌い口ずさみながら、流れるが如く試食を手渡していきます。
最初はお客様もMさんのものすごいインパクトに圧倒されるのですが、試食をパクっと口に入れて笑顔。さらにMさんの一所懸命で愛嬌たっぷりのパフォーマンスに次第に心がほぐれて、ついに笑い声までこぼれます。
他者のマネキンさんに聞けば、Mさんに逢いたくてリピーターになる方もいらっしゃるそうですよ。すごいですね。
ちなみにちょっと毒づきますと、こういう上手い販売員さんに釣られて商品を買った場合、あとで後悔するような、美味しくないものを掴んでしまうケースがあります。
しかし、このチーズオムレットにそんな心配は全然なくて、それはそれはめちゃくちゃ美味しいです。
もう、絶品クラス!
私も今回買ってきましたので、ちょっと皆さんにご紹介してみましょう。
箱は横長で、綺麗な赤に上品なイラスト。原材料名を見ると、クリームチーズ、牛乳、鶏卵、砂糖、バター、小麦粉、ワイン、コーンスターチ、水あめとあり、化学的材料は使わず、極めてシンプルな素材で仕上げているのが分かります。
箱を開けると、上品な絵柄の説明書きが出てきます。このチーズオムレットを生産しているのは、函館洋菓子スナッフルスという会社で、函館、北海道各所のほか、東京・有楽町にも店舗を構えています。
また同社は、全国のデパートの催事に優秀な営業スタッフを派遣し、主力商品の「チーズオムレット」を販売することにも力を入れておられます。上記のMさんもそうしたスタッフの一人で、営業力は全国の催事全般を眺めてもトップクラスに思えます。
【函館空港で土産ベスト3入り】チーズオムレット!美味!【スナッフルス】ふわふわ食感でとろけるように柔かい!有楽町で買えるよ!東京・有楽町
さて、いよいよ開封すると、きれいな黄色の生地をまとったチーズオムレットが登場!
真ん中がやや茶色に焼きあがった感じで、とてもかわいらしい。
もう写真を見るだけで、しっとりとしたふわふわ感が伝わってくるでしょう?
でも実際食べてみると、その想像以上にふわふわしているんです。
決して含水量が多いという感じではなく、チーズケーキが淡雪になったような、本当にすばらしい滑らかさだと感動させられます。
ちなみにフォークで切ってみた写真です。生地のキメの細かさ、わかりますか?
このチーズケーキのような上品な甘さと酸味とじゅわっと感のコラボレーションが他に見当たらないレベルで、コーヒーと一緒にやったりしますと、まさに至福のひととき。
あ~、満足。ごちそうさまでした。
皆さんもぜひ、北海道物産展がお近くでありましたら、スナッフルスさんを探してみられてください。ただし、一括りに北海道物産展と言いましても、主催団体さんによっては参加していない場合がございますので、そのような場合は下記通販サイトにてお買い求めください。ご参考にどうぞ。
果てしないカステラの旅 第2回 和泉屋・長崎カステラランド
御三家にチャレンジする気鋭の和泉屋さん
長崎県のカステラ御三家と申しますと、福砂屋さん、松翁軒さん、文明堂総本店さんの3社です。
しかし、県内には他にも有名かつ素晴らしいカステラを提供するメーカーさんがたくさんあります。
そのひとつで、近年急激な勢いで売上・知名度を伸ばしているのが「和泉屋(いずみや)さんです。
1956年創業と言いますから、戦後、特に被爆の傷跡生々しい長崎において、「やるぞっ!」の一心で頑張ってこられたメーカーさんの一つでしょう。
自社ならではのカステラを必死に磨き上げつつ、様々なアレンジ商品にも着手し、長崎しよこらあと、綺麗菓(きれか)、カステララスクなどを開発。特にカステララスクは柔らかいカステラとサクッとした食感のラスクの組み合わせということで、発売当時から愛されている商品です。
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恋するラスク20袋入スティックタイプ サクッとした食感のカステララスクを、4種のチョコで包みました。
さて、現在和泉屋さんの商品は県外から来られた旅行客さんでも簡単に購入できます。まずは長崎空港で、平成30年現在、広々とした店舗を2階に構えておられます。空港内で店舗を構えているカステラメーカーさんは他に福砂屋さんしかありませんので、勢いを感じますね。
次に、長崎市内最大の商業地・浜町に広大な店舗が2店あり、最近は中国人観光客と思しき団体さんで賑わっています。余談ですが、同じ浜町には「とれとれ旬や」という農産物レストラン・直売所もあり、実はこちらも和泉屋さんの運営です。
★長崎市の商業地・浜町の和泉屋さんはこちら
★同じ浜町のベルナード観光通りにある本店
★眼鏡橋側にあるとれとれ旬家さんも和泉屋さんの経営
こうしたことから、長崎で和泉屋さんと言えば、多角化経営の成功例として知られており、カステラ以外の商品の見定めにも手を抜かず、高いクオリティで提供しているのは本当にすごい手腕だと思います。
そんな和泉屋さん。平成30年の8月に、長崎県雲仙市に「長崎カステラランド」なる施設を完成させました。
もともと和泉屋さんは県内各地に、「観光バスが立ち寄れて、美味しい長崎の料理が食べられて、最後にお土産のカステラを買って買えることができる」施設をいくつか作っていましたが、ここはその総決算というべきスポットです。
諫早市から島原方面に向けて車を走らせると、やがて風光明媚な田園風な景色に変わります。すると右手に、大きなカステラの写真が入った看板が出現!
広大な駐車場に車を停めると、前面にピカピカのオールガラス張りの豪華な施設「長崎カステラランド」が広がり、一般の観光客さん、買い物客さん、修学旅行生などでごった返しています。
中に入りますと、ホール内はとても広々として、左手には300席を誇る展望レストランが、右手には大勢のお客さんで賑わうカステラの販売所があります。
何とお出迎えは、愛嬌たっぷりのロボット君。記念写真も撮れますよ。
そして、彼の隣には美しい橘湾が望めるトイレ(向こうからは見えませんのでご安心を笑)があり、レジ奥には工場見学ルートが設置されています。すなわち、カステラランドは観光施設なだけではなく、実際にカステラ工場の機能も備えた建物なんですね。
残念ながら、工場見学ルートは撮影禁止なのでお見せできません。しかし、実際にカステラが最新鋭の設備で作られていく様子が確認でき、圧巻です。これはぜひ、皆様ご自身の眼でご覧になられて損はないと思います。
さて、ひとしきり見学してカステラを購入した後は、おたのしみ、ランチタイムです。
展望レストランもまた、美しい橘湾を眺めながらゆったりでき、しかもメニューは1000円程度のリーズナブルなものばかり。写真を見てください、美味しそうでしょ?
カツカレーの豚は雲仙のもみじ豚、オムライスや親子丼の卵は和泉屋さんのカステラと同じものを使うなど、嬉しいこだわりです。
ちなみに、下にメニュー表を載せておきますね。
http://www.n-izumiya.com/shop/castellaland_menu01-20181102.pdf
今回はカステラの旅と言っておきながら、企業紹介みたいになってしまいましたが、老舗以外にもこうしたユニークな取り組みで頑張っておられるメーカーさんもぜひご紹介したかったので、取り上げてみました。
長崎カステラランド マップ
銀座カレーに感激 ドンピエールエクスプレスカレー
東京駅でリーズナブルにリッチなカレー
私は出張でよく東京駅を利用することがありますが、食べるところがたくさんありすぎて、正直迷います。しかし、比較的よく利用するのが、八重洲北口改札外にあるキッチンストリートの、「ドンピエール エクスプレスカレー」さんです。
ドンピエール エクスプレスカレー
ジャンル:東京駅 カレー専門店
アクセス:JR東京駅 八重洲北口 徒歩1分
住所:〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-9-1 キッチンストリート(地図)
姉妹店:レストラン ドンピエール 銀座本店 (RESTAURANT dompierre) | ブラッスリー・ドンピエール
ネット予約:ドンピエール エクスプレスカレーのコース一覧
周辺のお店:ぐるなび 東京駅(八重洲)×カレーライス
情報掲載日:2018年11月18日
お店の名前が何だかものものしいですが、その由来は銀座にある、レストラン ドンピエール から来ています。ドンピエールさんは1984年開業の本格的なフレンチ・レストランで、お値段こそお高めですが、豪華で一流のこだわりのあるメニューを拝見するに、とっておきの日に一度は利用したい、と思わせる名店です。
レストラン ドンピエール 銀座本店 (RESTAURANT dompierre)
ジャンル:フランス料理
アクセス:地下鉄銀座線京橋駅 徒歩5分
住所:〒104-0061 東京都中央区銀座1-10-19 銀座一ビルヂング2F(地図)
姉妹店:ブラッスリー・ドンピエール | ドンピエール エクスプレスカレー
周辺のお店のネット予約:
・Oyster bar&Wine BELON 銀座店のコース一覧
・ぐるなび プロモーションコミュニティ練習用69のコース一覧
・「夢屋銀兵衛 虎夢」のコース一覧
周辺のお店:ぐるなび 銀座×フレンチ(フランス料理)
情報掲載日:2018年11月18日
この銀座本店の人気メニューがカレー。このカレーを、東京駅という抜群の立地でリーズナブルに楽しめるのが、ドンピエールエクスプレスカレーさんというわけです。
13時頃にお店に入ると、ほどほど広い室内に大勢のお客様がすでにひしめき合っています。若干待った後、私は一列の席に腰を下ろし、メニュー表を開きます。
※2018年11月18日現在の価格です。ご注意ください。
<季節カレー>
ハラミカレー ¥1,200
アンガス牛サーロインのステーキカレー ¥1,200
<ランチ>
【月曜日】牛すじカレー 1,000円
【火曜日】メンチ&ヒレカツカレー 1,000円
【水曜日】ゴロゴロ野菜のチキン煮込みカレー 1,000円
【木曜日】やわらかポークカレー 1,000円
【金曜日】道産牛カレー 1,000円
★土日祝日限定★目玉焼きハンバーグカレー 1,400円
<カレーメニュー>
特製ビーフカレー ¥1,650
ホワイトカレー ¥1,650
季節の野菜カレー ¥1,350
プラチナポークカツカレー ¥2,000
東京キーマカレー ¥1,200
タンドリーチキンカレー ¥1,530
欧風チキンマサラカレー ¥1,700
チョモランマカレー ¥1,550
ドンピエールハヤシライス ¥1,580
ツートップカレー ¥2,200
こどもカレー ¥680
リーズナブルなランチも魅力ですが、私はここに来たなら特製ビーフカレーと決めていますので、迷わず注文。
来ました。真っ黒とか黄色ではなく、これぞ欧風カレーというような、ハヤシライスにも似た見事な色合いです。
まず、大きめに切られた牛肉がゴロゴロ。これ、A5ランクの黒毛和牛とか。ルーの旨味を吸収しながら、お肉の甘さも主張。そして何より、ほろほろなんです。癖になりますよ、これ。
ルーもあっさりとした辛みが利いていて、気づいたら額に汗が出ている感じ。でもピリピリ刺激系ではなく、欧風らしく、まるでビーフシチューを食べているようなまろやかな甘みと辛さのバランスに感激します。
ごちそうさま。1650円、このお味なら高く感じません。満足です。
ただ残念ながら、ドンピエールエクスプレスカレーは東京でしか食べられません。系列店は田町や池袋にあるのですが、都外にはまだ出店していないようです。
でも悲観することなかれ。
全国どこでも、ドンピエールエクスプレスカレーの味を手軽に食べることができます。
細かく言うと、これはドンピエールの総料理長が監修したカレーになります。しかし、北海道の厳選牛肉を使い、料理長がこだわりの原材料を選んでじっくり煮込んだカレーはまさに絶品。レトルト感もなく、本当に美味しいですよ。
ぜひ一度、お試しあれ。
果てしないカステラの旅 第1回 岩永梅寿軒
伝統洋菓子の王様 カステラ
皆さんが好きなお菓子って何ですか?
ポテトチップス、わらび餅、アイスクリーム、チーズケーキ......。挙げ出したらキリがありませんね。
今の筆者にとってのイチオシはずばり、「カステラ」です!
上品で食欲をそそる黄金色の生地。上部には落ち着いた茶褐色の焼き目。そして地域やメーカーによって異なりますが、下面にびっしりと付いた大粒の砂糖であるザラメ。あ~、美味しそう。
ご存知のとおり、もともとカステラはポルトガルから伝わった南蛮菓子で、パンデローというもっと硬めのものでした。しかし、日本の優秀な菓子職人たちが努力して、日本人好みの独自の和菓子に改良。江戸時代中期にはほぼ現在のカステラに近いものになっていたというのですから驚きです。
特に中世日本における最大の貿易地であった長崎県ではカステラ文化が花開き、1624年(寛永元年)にはカステラ製造を生業とする「福砂屋」が誕生。
さらに鎖国の世にあって、出島を擁する長崎では、「福砂屋」だけでなく、「松翁軒」が1681年(天和元年)に創業し、1900年(明治33年)に創業した「文明堂」と合わせて3大メジャーと呼ばれています。
この他にも、長崎では匠寛堂さん、和泉屋さん、異人堂さん、琴海堂さん、森長さんなど、老舗から新進気鋭まで、あらゆるメーカーが百花繚乱のカステラを製造しており、長崎ではそれらを日々、美味しく愉しむことができるのです。
ここでは、それらの中から筆者が勝手に自分好みのカステラを厳選し、皆様にご紹介して参りたいと思います。長崎にお住まいの方以外も、旅行で来られた際の参考にして頂ければ幸いです。
歴史ある和菓子の老舗 岩永梅寿軒の手作りカステラ
さて、1回目にご紹介するのは岩永梅寿軒さんのカステラです。
と言っても、多くの方が「?」でしょう。
長崎の方以外は、ほとんど耳にされることがないメーカーだと思います。長崎空港にはこちらのカステラは置いてありませんし、実際に現地を訪れてお店を探そうとしても、なかなか行き当らないと思います。
私もいい年になるまで、失礼ながらこのお店のことは存じ上げませんでした。
しかし、そのことを地元の方に言ってしまうと怒られるかもしれません。それくらい、長崎市民自慢の老舗で、何と創業は天保元(1830)年。写真の建物も1902(明治35)年と言いますから、もはや生きる歴史建造物です。
そんな老舗の梅寿軒さんは、カステラ屋さんではなく和菓子屋さんで、「寒菊」、「もしほ草」という、繊細かつ芸術工芸品と言って良いような逸品を看板商品にされています。
ですから、岩永梅寿軒さんはカステラメーカーさんではありません。ところが最近になって、取扱商品の一つであったカステラがメディアを通じて広く知られるようになり、いつの間にか同社のシンボルマーク的存在になったのです。
何はともあれ、老舗和菓子屋さんの手による大好評のカステラですから、さぞ美味に違いありません。期待は膨らむばかり。私もさっそく購入することにしました。
Σ(・ω・ノ)ノ!しかし、しかしです。。。Σ(゚Д゚)
長崎市随一の賑わいを見せる浜町を抜けて、何とか岩永梅寿軒に着いたものの。
えっ!ない、お目当てのカステラがないのです(ノД`)・゜・。
そう、皆様。お買い求めの際は、十分お気を付けください。
岩永梅寿軒は、街の和菓子屋さんで大きな工場を構えているわけではありません。匠の技を持つ少人数の職人さんが、手作りでカステラを焼き上げているのです。
1日に焼ける量には限りがあり、基本、予約制。
当然店頭にも置いてあるのですが、これだけ美味しいという評判ですから、昼からのんびりと買いに行っても(私みたいに)、売り切れていることがほとんどです。あと予約にしても、通販サイトがあるわけではなく、前もってお店とやりとりしなければ、成立しないという超難関。
ただ、それだけのハードルの高さですから、裏を返せば、お客様に最高の仕上がりで提供したい。生半可なものは差し上げられない、という職人の心意気のようなものが感じられます。
となれば、一度目のチャレンジは失敗したものの、ますます諦められません。
二度目のチャレンジはある夏の日。
今度は朝早く出かけ、10時30分到着。ついにカステラをゲットしました。
しかし開店30分というのに、すでに最後の1本だったから驚きです。
とにかく足早に帰宅して、さっそく開封作業へ入ります。
お店の外観をデザインした上品な紙袋。もうこれだけで嬉しくなってきますね。
虎柄のような包装紙をめくると、さらに包装紙。黒を背景に金色で趣のある字体。なんだか明治の香りがしますね。そして上の方には長崎カステラ認定証シール。
この趣のある包装紙をめくってようやく、帆船の絵が入った箱が登場するのです。
もうここまでで、丁寧さに感動しませんか?お土産でもらったら嬉しいに違いありません。
さて、いよいよ箱を開けましょう。
出ました!何とも素晴らしいいでたちのカステラが登場。
焼きあがってそのままのカステラを提供したい想いからか、切れ目は付いていません。それにしても、見事なまでの焼き目。
生地も繊細。見事なキメです。さっそく食べてみましょう。
カステラ様、ゴメンナサイ。上手く切れませんでした......。(;´д`)トホホ
でも、見た目はブサイク(私のせい)ですが、写真から半端ないモチモチ感が伝わってきませんか?
で、実際にひとくち口に入れた感想ですが、見た目以上のもっちり感、ふわふわ感、そして上品な甘みに、心の底から感激。もう素晴らしすぎて言葉になりません。
さらに特筆すべきは、下面のザラメのじゃりじゃり感。これが凄いアクセントになっています。
私はその日のうちに半分食べてしまいましたが、実はこのカステラ、賞味期限は10日と短いものの、日を追うごとにどんどん美味しさが増してくるのです。
しっとり感が出るというか、生地がじゅわっと音を奏でそうなくらい、濃厚な柔らかさを増すのです。
ひょっとしたら、あのじゃりじゃりザラメに秘密があるのかもしれません。とにかくこのカステラのクオリティは半端ないです。
皆様も長崎観光の際には、ひょっとしたら運悪く手に入らないかもしれませんが、ぜひ岩永梅寿軒さんにチャレンジしてみてください。カステラがダメでも、ここでしか買えない長崎伝統の和菓子も買えますから。
アサヒの苦闘と栄光への転換 ~空前のヒット作 スーパードライの誕生まで~
日本で一番売れているビールってご存知ですか?
そう、「アサヒスーパードライ」です。
デビューから2017年までの累計販売数はなんと37億箱!
しかし、この商品の誕生には、アサヒの血のにじむような苦労があったんです(/・ω・)/
日本がいよいよバブル景気に突入しようとしていた1987年、日本4大ビールメーカーの一つ、アサヒビールは大変な苦境に陥っていました。
当時はキリンビールの独壇場。麒麟印の瓶ビールが日本の食卓を席巻していました。さらにウイスキーメーカーのサントリーがビール市場において躍進し、椎名誠の「すごい男の唄」のCM、サントリーホールのオープンを筆頭とする強大な広告費の投入により猛追。また、サッポロビールは居酒屋・外食など足場をマイペースに固める戦略で万全でした。
そんな中、とりわけ個性に乏しく、ヒット商品の開発にあえいでいたアサヒは経営的にも迷走し、売却も検討される苦境であったと言います。そこでアサヒの支援を行っていた当時の住友銀行は、次々と再建請負人を同社に送り込みました。
そのうち村井勉は、1984年夏から1985年夏にかけて東京と大阪の2都市で大規模な調査を行います。そこで彼は、若い消費者が苦みだけではなく、口に含んだときの味わい(コク)と喉ごしの快さ(キレ)を求めていることを突き止めます。
たしかに、私が幼い頃に父親が飲んでいたキリンビールは苦く、ズシンと来るような重さがあったように記憶しています(ほんの一口ですよ、時効です笑)。
それを、現在のスーパードライのようなライトな味覚に変えて行くべしと看破し、実行に移した村井はすごいと思います。
次にやってきた樋口廣太郎は、上の結果からコクキレに重心を置いて開発した新商品「アサヒ生ビール」のプロモーションに懸命に取り組み、売上を回復。さらに樋口は「アサヒ生ビール」のコンセプトを究極にまで磨き上げ、1987年1月21日、「アサヒ スーパードライ」として発表。これが空前の大ヒット、アサヒの大逆転を生み出したのです。
当初、アサヒは自信を漲らせながらも、市場での売上計画は慎重であったと言います。しかし、これが空前のヒットとなり、酒屋や飲食店からは注文が殺到。1987年の販売数量実績は1350万箱を達成しました。
デザインも受けたんですね。
あのメタリックな色のラベルとシャープなAsahiのロゴ。そしてCMで渋い男性の声で呟かれる「アサヒ スーパー ドラーイ」の印象的な言い回し。
全てが戦略的に洗練されていました。
やはり、村井や樋口をはじめとする、当時のアサヒ社員の熱意とやるぞ!という意気込みは尋常じゃなかったのだな、と感心します。
そしてもうそこからはうなぎのぼりです。スーパードライは年間1億箱が売れるというお化け商品になり、店頭だけでなく、飲食店でも一人勝ち。突き放されたキリンやサントリーが、打倒アサヒに燃えるという、今までとは逆の構造になりました。
それから30年近くが経過。
2010年代も終わりに近づき、漸くキリンが旧来のビールのうまさを引き出した良い商品を連発し、サントリーもプレミアムモルツに経営資源を集中するなど、アサヒ帝国を良い意味で脅かす状況が生まれてきましたが、まだまだスーパードライの覇権はゆるぎないものとみて良いでしょう。
ところで、スーパードライはなぜ、こんなにも長い間支持されているのでしょうか?
これはあくまで私見ですが、やはりあの飲み口の軽さに最大のセールスポイントがあるように思えます。
アサヒはそれを「辛口」と呼びました。そしてドライビールなる新領域をつくりあげたのです。
ちなみにヨーロッパで育まれてきた本場のビール文化に、「辛口」とか「ドライ」などというカテゴリはありません。
例えば、ドイツには「ビール純粋令」なるものが伝わっており、古くは麦芽・ホップ・水以外の原料を用いてはならぬ、とされていました。今ではそんなルールはありませんが、それでも多くのビール会社がこの製法を守り続けている、と言います。
逆に、良質なホップに恵まれないベルギーなどでは、芳醇な果物などを代替品に使って、日本ではあまり馴染みのない果実酒のようなビールの文化を発展させてきました。
それでは日本のビール会社はどうかと言いますと、麦芽・ホップ・水の他に、副原料として米とコーンスターチを加えるのが一般的と言われています。日本は蒸し暑い気候のため、すっきりとした味わいが好まれます(これは先述の村井の調査にもはっきり表れていましたね)。そこで、コーンスターチのような糖質を活用し、飲みやすく爽やかな味わいのビールを市場に浸透させてきたのです。
アサヒスーパードライは、このコーンスターチや米といった副原料の割合を高め、麦芽とホップの割合をギリギリまで減らしてできた商品です。それにより、80年代前半までにはなかった味わいが誕生し、それが「ドライ」や「辛口」といった比喩により、表現されたわけです。
語弊があるといけませんが、このように麦芽の比率を下げて作ったビールは、税法的には発泡酒と呼ばれます。ドライは、発泡酒にカテゴライズされるギリギリのラインまで麦芽比率を下げ、しかしビールのキリっとした味わいは残して商品化しています。
のちに発泡酒ブームがやってきた時、あまり味に違いが出ないのではないかと懸念したアサヒは、「スーパードライ1本でやっていきます」と宣言したくらいです。
しかし、「スーパードライ」は日本を代表するビールとしてその地位を確立し、発泡酒と競うような事態にも陥らず、現在最も売れているビールとして君臨しています。
今後アサヒが、スーパードライをどのように未来へ向かってマーケティングしていくか、大いに楽しみなところです。