太郎雑記

つれづれなるままに、よろずのことについて語ります

果てしないカステラの旅 第1回 岩永梅寿軒

伝統洋菓子の王様 カステラ

皆さんが好きなお菓子って何ですか?

ポテトチップス、わらび餅、アイスクリーム、チーズケーキ......。挙げ出したらキリがありませんね。

今の筆者にとってのイチオシはずばり、「カステラ」です!

 

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上品で食欲をそそる黄金色の生地。上部には落ち着いた茶褐色の焼き目。そして地域やメーカーによって異なりますが、下面にびっしりと付いた大粒の砂糖であるザラメ。あ~、美味しそう。

ご存知のとおり、もともとカステラはポルトガルから伝わった南蛮菓子で、パンデローというもっと硬めのものでした。しかし、日本の優秀な菓子職人たちが努力して、日本人好みの独自の和菓子に改良。江戸時代中期にはほぼ現在のカステラに近いものになっていたというのですから驚きです。

特に中世日本における最大の貿易地であった長崎県ではカステラ文化が花開き、1624年(寛永元年)にはカステラ製造を生業とする「福砂屋」が誕生。

さらに鎖国の世にあって、出島を擁する長崎では、「福砂屋」だけでなく、「松翁軒」が1681年(天和元年)に創業し、1900年(明治33年)に創業した「文明堂」と合わせて3大メジャーと呼ばれています。

 

www.castella.co.jp

www.shooken.com

www.bunmeido.ne.jp

 

この他にも、長崎では匠寛堂さん、和泉屋さん、異人堂さん、琴海堂さん、森長さんなど、老舗から新進気鋭まで、あらゆるメーカーが百花繚乱のカステラを製造しており、長崎ではそれらを日々、美味しく愉しむことができるのです。

 

ここでは、それらの中から筆者が勝手に自分好みのカステラを厳選し、皆様にご紹介して参りたいと思います。長崎にお住まいの方以外も、旅行で来られた際の参考にして頂ければ幸いです。

 

歴史ある和菓子の老舗 岩永梅寿軒の手作りカステラ

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さて、1回目にご紹介するのは岩永梅寿軒さんのカステラです。

と言っても、多くの方が「?」でしょう。

長崎の方以外は、ほとんど耳にされることがないメーカーだと思います。長崎空港にはこちらのカステラは置いてありませんし、実際に現地を訪れてお店を探そうとしても、なかなか行き当らないと思います。

私もいい年になるまで、失礼ながらこのお店のことは存じ上げませんでした。

しかし、そのことを地元の方に言ってしまうと怒られるかもしれません。それくらい、長崎市民自慢の老舗で、何と創業は天保元(1830)年。写真の建物も1902(明治35)年と言いますから、もはや生きる歴史建造物です。

そんな老舗の梅寿軒さんは、カステラ屋さんではなく和菓子屋さんで、「寒菊」、「もしほ草」という、繊細かつ芸術工芸品と言って良いような逸品を看板商品にされています。

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ですから、岩永梅寿軒さんはカステラメーカーさんではありません。ところが最近になって、取扱商品の一つであったカステラがメディアを通じて広く知られるようになり、いつの間にか同社のシンボルマーク的存在になったのです。

何はともあれ、老舗和菓子屋さんの手による大好評のカステラですから、さぞ美味に違いありません。期待は膨らむばかり。私もさっそく購入することにしました。

 

Σ(・ω・ノ)ノ!しかし、しかしです。。。Σ(゚Д゚)

 

 

長崎市随一の賑わいを見せる浜町を抜けて、何とか岩永梅寿軒に着いたものの。

えっ!ない、お目当てのカステラがないのです(ノД`)・゜・。

 

そう、皆様。お買い求めの際は、十分お気を付けください。

岩永梅寿軒は、街の和菓子屋さんで大きな工場を構えているわけではありません。匠の技を持つ少人数の職人さんが、手作りでカステラを焼き上げているのです。

1日に焼ける量には限りがあり、基本、予約制。

当然店頭にも置いてあるのですが、これだけ美味しいという評判ですから、昼からのんびりと買いに行っても(私みたいに)、売り切れていることがほとんどです。あと予約にしても、通販サイトがあるわけではなく、前もってお店とやりとりしなければ、成立しないという超難関。

ただ、それだけのハードルの高さですから、裏を返せば、お客様に最高の仕上がりで提供したい。生半可なものは差し上げられない、という職人の心意気のようなものが感じられます。

となれば、一度目のチャレンジは失敗したものの、ますます諦められません。

二度目のチャレンジはある夏の日。

今度は朝早く出かけ、10時30分到着。ついにカステラをゲットしました。

しかし開店30分というのに、すでに最後の1本だったから驚きです。

とにかく足早に帰宅して、さっそく開封作業へ入ります。

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お店の外観をデザインした上品な紙袋。もうこれだけで嬉しくなってきますね。

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虎柄のような包装紙をめくると、さらに包装紙。黒を背景に金色で趣のある字体。なんだか明治の香りがしますね。そして上の方には長崎カステラ認定証シール。

この趣のある包装紙をめくってようやく、帆船の絵が入った箱が登場するのです。

もうここまでで、丁寧さに感動しませんか?お土産でもらったら嬉しいに違いありません。

さて、いよいよ箱を開けましょう。

出ました!何とも素晴らしいいでたちのカステラが登場。

 

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焼きあがってそのままのカステラを提供したい想いからか、切れ目は付いていません。それにしても、見事なまでの焼き目。

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生地も繊細。見事なキメです。さっそく食べてみましょう。

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カステラ様、ゴメンナサイ。上手く切れませんでした......。(;´д`)トホホ

でも、見た目はブサイク(私のせい)ですが、写真から半端ないモチモチ感が伝わってきませんか?

で、実際にひとくち口に入れた感想ですが、見た目以上のもっちり感、ふわふわ感、そして上品な甘みに、心の底から感激。もう素晴らしすぎて言葉になりません。

さらに特筆すべきは、下面のザラメのじゃりじゃり感。これが凄いアクセントになっています。

私はその日のうちに半分食べてしまいましたが、実はこのカステラ、賞味期限は10日と短いものの、日を追うごとにどんどん美味しさが増してくるのです。

しっとり感が出るというか、生地がじゅわっと音を奏でそうなくらい、濃厚な柔らかさを増すのです。

ひょっとしたら、あのじゃりじゃりザラメに秘密があるのかもしれません。とにかくこのカステラのクオリティは半端ないです。

皆様も長崎観光の際には、ひょっとしたら運悪く手に入らないかもしれませんが、ぜひ岩永梅寿軒さんにチャレンジしてみてください。カステラがダメでも、ここでしか買えない長崎伝統の和菓子も買えますから。